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漁師の年収はいくら?漁法・雇用形態別の目安と手取りの考え方

漁師の年収は、水揚げ金額ベースか漁労所得(経費差引後)ベースか、雇われ漁師か自営かで大きく変わります。水産庁の水産白書や国税庁の民間給与実態統計をもとに、沿岸・遠洋・養殖など漁法別の年収目安と、手取りを考えるときの注意点をわかりやすく整理しました。

キーワード: 漁師 年収

漁師の年収は「漁労所得」と「水揚げ金額」で大きく違う

漁師の年収を調べるときに最初につまずくのが、「どの数字を見ているか」です。求人やメディアで紹介される年収には、水揚げ金額(売上)ベースのものと、燃料費・餌代・氷代・漁具の修繕費・漁協手数料などを差し引いた漁労所得(経費差引後)ベースのものがあります。

自営の沿岸漁船漁業では、水揚げ金額の30〜60%が経費として消えることもあり、水揚げ800万円でも漁労所得は300〜400万円台というケースは珍しくありません(業界メディアによる目安/水産ナビ)。つまり「漁師 年収」を比べるときは、①漁労所得か水揚げ金額か、②雇われ漁師か自営か、③年間の拘束時間——の3点をそろえる必要があります。

公的統計で見る漁師・漁家の年収目安

水産庁の令和5年度『水産白書』(www.jfa.maff.go.jp)では、令和4年(2022年)の漁労所得などが次のように整理されています。

区分漁労所得などの目安
沿岸漁船漁業を営む個人経営体252万円(前年比+56万円)
うち基幹的漁業従事者が65歳未満543万円(前年比+157万円)
海面養殖業を営む個人経営体1,062万円(前年比+228万円)
漁船漁業を営む会社経営体営業利益は273万円の赤字

同じ「漁師」でも、沿岸漁船漁業の個人経営体は252万円、海面養殖業は1,062万円と4倍以上の開きがあります。また、基幹的漁業従事者が65歳未満の経営体では543万円と高く、年齢構成や経営規模の影響も大きいことがわかります。漁業就業者1人当たりの生産額は1,300万円(令和4年)とされていますが、これは経費を含む生産額であり、そのまま手取りにはなりません。

なお、漁家(世帯)単位の『漁業経営統計調査』(e-stat.go.jp)では400万円台の平均値が紹介されることもあり、集計対象や定義の違いで数字が動きます。

漁法・雇用形態別の年収レンジ(目安)

以下は業界メディア(suisan-navi.jp)が公開データをもとにまとめた漁法別の年収レンジです。漁労所得ベースの目安であり、地域や漁獲状況で大きく変動します。

  • 遠洋マグロ延縄漁:600〜1,300万円(1航海1〜2年)
  • 遠洋カツオ一本釣り:500〜1,200万円(1航海3〜10か月)
  • 沖合底引き網漁:400〜750万円
  • 海面養殖業(雇用型):350〜800万円
  • 沖合巻き網漁:350〜700万円
  • 沿岸延縄漁:250〜500万円
  • 沿岸定置網漁:180〜450万円

年収が高い漁法は拘束時間も長い傾向があります。一方、1日の実働が5〜6時間・年間200〜250日程度とされる定置網漁は額面では低めでも、時給換算では上位にくるという指摘もあります。金額だけでなく労働時間もあわせて見ることが大切です。

漁師の年収から手取りを計算するときの注意点

自営漁師の漁労所得は、いわゆる「額面」に近い数字で、ここから所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料などを自分で支払います。さらに経費の変動が大きいため、同じ漁獲量でも手取りは年ごとに変わります。

一方、漁業会社に雇われている漁師は給与所得者として扱われ、税金や社会保険料は給与から天引きされます。額面から手取りになる割合は一般的に8割前後が目安とされますが、家族構成・年齢・自治体によって差があります。自分の条件に近い手取りを知りたいときは手取り早見を活用してください。

会社員の平均給与と比べると

国税庁の民間給与実態統計調査(nta.go.jp)によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円です(男性597万円、女性342万円、正社員559万円、正社員以外210万円)。漁労所得の平均値はこれを下回る区分が多い一方、遠洋漁業や養殖業などでは会社員の平均を上回るケースもあり、平均値だけで判断するのは危険です。

漁師の年収をどう見るか

漁師の年収は、漁法・雇用形態・年齢・地域・漁獲状況によって大きく動きます。数字を見るときは、漁労所得か水揚げ金額か、経費が差し引かれているかを必ず確認しましょう。ほかの職業との比較には年収指数も参考になります。関連する用語や制度の記事は記事一覧から探せます。

※本記事の金額はすべて目安・概算です。実際の年収・手取りは個人差・地域差・控除の違いによって変わります。

よくある質問

漁師の平均年収はいくらですか?

ひと口には言えません。水産庁『令和5年度水産白書』では、令和4年(2022年)の漁労所得は、沿岸漁船漁業を営む個人経営体で252万円、基幹的漁業従事者が65歳未満の経営体で543万円、海面養殖業を営む個人経営体で1,062万円とされています。漁法・経営形態・年齢構成で大きく異なる点に注意してください(いずれも目安)。

未経験から漁師になっても稼げますか?

漁業会社に雇用される形であれば未経験からでも参入しやすいとされます。業界メディアの目安では、沿岸定置網漁の新人で年収180〜250万円程度、経験を積むと300〜450万円程度といった例が紹介されています。遠洋漁業は高収入が期待できる一方、1航海が数か月〜1年以上におよぶこともあります。

漁師の手取りは額面の何割くらいですか?

自営漁師は経費の変動が大きく、漁労所得から所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料などを支払うため、一律には示せません。漁業会社に雇われている場合は給与所得者として天引きされ、手取りは額面の8割前後が一般的な目安とされますが、家族構成や自治体で差があります。

年収が高い漁法はどれですか?

業界メディアの目安では、遠洋マグロ延縄漁(600〜1,300万円)や遠洋カツオ一本釣り(500〜1,200万円)が上位に挙げられます。ただし拘束期間が長く、家庭との両立が難しい面もあります。金額だけでなく労働時間や生活スタイルもあわせて検討しましょう。

養殖業のほうが収入は安定しますか?

一般に、養殖業は出荷量や時期を調整しやすく、雇用型であれば固定月給の求人もあるため収入は安定しやすいとされます。一方で赤潮や台風などの自然災害リスクはゼロではありません。沿岸漁業は天候や魚の回遊に左右され、年によって収入が大きく変動することがあります。

参考情報

関連ガイド

本記事の金額は公開統計や一般的な試算に基づく目安です。実際の手取りは社会保険・税法・扶養・居住地により異なります。重要な意思決定の前に、最新の公式情報や専門家の助言を確認してください。